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第34章 楽しい夜

　「ごめんね、舞奈ちゃん。俺が余計な事言ったから・・・」

　舞奈のあまりの取り乱しっぷりに、流石に罪悪感を感じたのか成滝は申し訳なさそうに誤るが、舞奈はふるふると首を横に振った。

　「いえ・・・私が今まで気が着いていなかったのが悪いので・・・」

　まだまともに成滝の顔が見れず、舞奈はテーブルを見つめたままだが、先ほどとは違い、言葉ははっきりと発せられる。

　（ほんと、私ってバカ・・・）

　こんな当たり前な事を忘れてた上に、それを自覚し取り乱した自分に舞奈は居た堪れなくなる。

　（先生も、流石に呆れたかな・・・）

　チラリと目の前に座る大河を見ると、じっと舞奈を見つめていたのか視線が合う。

　その瞬間、大河はフっと笑いを溢した。

　その笑いは、舞奈に呆れたと言う笑いではなく、取り乱している舞奈が、とても面白いといわんばかりの笑いだった。

　その意図に気が着いた舞奈は、少しだけ頬を膨らませる。

　（誰のせいで、こんな恥ずかしい思いしてると思ってるんだ！）

　大河のあまりの余裕っぷりに、流石に声には出せないので、舞奈は心の中で悪態をつく。

　「あ、こら！大河ってば、舞奈ちゃんいじめてる」

　舞奈を抱きしめたままの栄子が、大河の笑いに気がついたのか、一層舞奈を強く抱きしめながら大河を諌める。

　「苛めてはいないよ。愛でてるんだ」

　「物は言い様ね」

　大河の余裕の返しに、栄子は呆れた声を溢すが、舞奈の顔を間近で見つめ、フフっと妖しげな笑いを漏らす。

　「でもわかるわ。舞奈ちゃんすっごく可愛いもの。私も舞奈ちゃん啼かせたくなるわ」

　（ええええええっ！？）

　栄子の突然の言葉に、舞奈は顔を真っ赤にしパニックになる。