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その瞳に…
第36章 ~モノローグ6~
 「取りあえず、お前は昨夜の記憶を今すぐ抹消しろ。出来ないなら、僕が今すぐ頭殴ってやるから」

 なんとか呼吸と整え、成滝を睨むと、怖くありませーんと言わんばかりに、成滝はニヤニヤと笑った。

 「殴られてもアレだけは無理っしょ。そこは、俺に見せたお前が悪い」

 「・・・・・・」

 成滝に正論を言われ、黙るしかない僕に、鳴滝は楽しそうに笑う。

 「しっかし、お前も末恐ろしい子を捕まえたな~。早百合なんか、舞奈ちゃんが大河の恋人で良かったって、後で俺に溢してたんだよ」

 「早百合さんが?」

 「うん、早百合が。あの!早百合がそう言ってた」

 それがどう言う意味なのか、僕はすぐに理解する。

 きっと、嫌絶対に舞奈の開花する瞬間を見たからだろう。

 あれを見て、その体を貪ればどんな男も舞奈に夢中になるだろう。

 どんな女性にも満足しなかった僕が、一瞬で舞奈に溺れた様に・・・

 「ま、でも俺はお前の大事な子に、本気で手を出す気は無いから安心して」

 「それは解ってる。でなきゃ、紹介すらしないよ」

 ニヤニヤと楽しそうに笑う鳴滝から、視線を外し僕はゆっくりとコーヒーを口にする。

 「でもまぁ、昨夜の舞奈ちゃん、お前に散々な扱いされたから、起きたら嫌いになってたりして~」

 「っ!!!!」

 二度目のコーヒーの痞えに、先ほどより僕は大きくむせる。

 こいつは僕を殺す気なのだろうか・・・

 生理的に出てしまった涙を袖で軽く拭い、僕は先ほどより強く無言で鳴滝を睨む。

 「それはちゃんとフォローするし、嫌いになられたらまた好きにさせるから大丈夫だ」

 そう言いながらも、まだ不安が残っている僕に、鳴滝はふ~んと鼻で笑う。

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