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第37章 日常の中の非日常

　言葉通り、舞奈は食事を食べお腹が満たされると気分もかなり落ち着いたようで、目の前に成滝がいる事も気にならなくなった。

　そして、気持ちに余裕が出来ると、ふと小さな疑問が湧く。

　「あの、栄子さんは？」

　舞奈は食べ終わった食器をキッチンへ運びながら、受け取る早百合に問いかける。

　「栄子は自分の部屋に戻ったわ。私も舞奈さんが起きた頃に来たばかりなの」

　その言葉に、舞奈は違和感を覚える。

　「皆さんは、一緒に暮らしてるんじゃないんですか？」

　その言葉に、早百合はええ、と微笑んだ。

　「みんなここのマンションに住んでるけれど、部屋は別々よ。それぞれ仕事があるし、プライベートな時間も必要でしょう？」

　「そ。つっても皆５階にいるし、それぞれ合鍵もってるから、自由に出入りしてるけどね」

　舞奈達の話が聞こえたのか、アイマスクを外した成滝が振り向きながら早百合の言葉に続く。

　「え？皆さん５階なんですか？良く部屋空いてましたね」

　いくら新しいマンションでも、そんな都合良く部屋が空いてるものなのだろうか、と舞奈が疑問を口にすると、成滝があっさりと衝撃の事を口にする。

　「だってここ、俺の親父のマンションだもん。つか、皆と住むために建ててもらったようなもんだし」

　「えっ！？」

　あまりの驚きに、舞奈は持っていた食器を落としそうになる。

　しかし、予期していたのか早百合が下から支えてくれていた為、食器は落とさずにすんだ。

　「あ、すみません！」

　舞奈は慌てて早百合にお礼を言うが、動揺は中々収まらない。

　「こんな風に見えて、こいつ良いとこのおぼっちゃんなんだよ」

　「こんな風にって・・・大河はほんと俺の事になると辛口だよね」