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妄想シンドローム
第4章 愚者の後悔




 慎重にシャワーの湯をルルの白くて長い髪へ流す。耳がひっきりなしに動いている。だが湯を当て続けていると気持ち良くなってきたのか、ルルは目を細めてうっとりとなり、耳は動かなくなった。


「ほらね? 気持ちいいでしょ?」


「うん、おふろルルいい」


 満足げなルルの笑み。ゴロッと喉が鳴る。


「今度はこれでルルの身体を洗うからね。うんと、まずはシャンプーからかな。彼女の使ってたのでいいのかなぁ」


 泊まりに来ることもあった彼女が置いていった洗髪剤。捨てようとは思ったが、それらには罪はなく、男の自分が使っても問題ないだろうと取っておいたものがある。


 けれどルルに使用するのはペット用か人間用か迷うところだ。耳や尻尾は迷いなくペット用が妥当だろう。髪は褒める際に触ったが、人間の質感と変わりなかった。


 深く考えていても仕方ないかとシャンプーのポンプを押し、とろみのある液体を掌に受ける。


「ルル、目を瞑っていられる? こうやって、ギューって」


 総一が示すと、「ぎゅー?」と言いつつ真似をする。


「うん、上手。ルルは頭がいいな。僕がいいって言うまでギューってしてるんだよ」


「ルル、ぎゅーしてる」


 まるで幼子のようなルル。いっそのこと姿も幼子だったなら劣情を抱かずに済むのに。


 自然と反応をしてしまっている股間に目を落とし、総一は嘆息した。





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