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妄想シンドローム
第3章 類はなんとやら




「そう……だったんだね」


 何と言っていいのか解らない杏璃は、それだけ呟く。


「うん。今度は杏璃ちゃんの番。もしかして杏璃ちゃんも魅入られちゃった系?」


「えぇっと私はその……やんごとなき事情がありまして……」


「私にだけ話させて、杏璃ちゃんは話さないつもり?」


 にっこりと微笑む可愛らしい顔に、脅迫じみた色が滲む。


 杏璃の身体と、それ以上に心が強張る。


 杏璃は虐められてからというもの、春馬以外に心を許せた友人はいなかった。言動を相手に合わせて喜ばせたり、自分が嫌われないようにしてきた。


 友達と呼べる人は何人か作れても、親友と呼べるのは春馬だけ。


 由奈に本当のことを言うのが怖い。本心を見せるのが怖い。


 だが彼女は杏璃を信じて、自分の秘匿してきた趣味を教えた。彼女の文言を借りるならば、今度は杏璃の番なのだろう。


「実はね……」


 背中に伝う冷たい汗を常に感じつつ、杏璃は事の始まりから聞かせた。


 すべて話し終えると、由奈は神妙な顔つきになっていた。







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