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妄想シンドローム
第3章 類はなんとやら




 杏璃は由奈の顔をそっと盗み伺う。


 彼女は自分の話を信じてくれただろうか? それとも司がそんなことをするはずないと、杏璃を詰るだろうか?


 由奈の唇の動きが異様に遅く感じる。ゆっくり開かれたそこから発せられるだろう言葉を、息を飲んで待った。


「なるほどねー。二人して休んだ時に何かあったのは解ってたけど、そんなことがあったんだ」


「信じて……くれるの?」


「え? 逆に何で信じないと思ったの?」


「それは……司は人気あるし、カッコイイし」


「そんなの理由にならないってばー! それに私、三次元の男に興味ないから」


 うふっと肩を竦める由奈。初めから彼女を信用して、打ち明ければ良かった。


「前々からね、なーんか司くんって胡散臭いなーって思ってたの!」


「えぇっ!? そーなの!? でも由奈ちゃん、司に普通に接してたよね?」


「そりゃあ友達の彼氏だし? ああいうタイプは持ち上げとけば害にならないし」


「そ、そう」


「うん! これからも普通に接するよ? その方が杏璃ちゃんは都合いいでしょ?」


「そうだね……。みんなは由奈ちゃんみたいに私を信じてはくれないだろうから」


 由奈はそれほど貴重な存在なのだ。


 





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