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want to be ...【短編集】
第2章 ペアルック







2人でお風呂場に移動して、汗を流し合って。


結局2人で湯船に浸かり、泡プレイで1回して上がったあたし達。


ドライヤーで髪を乾かしてると、既に私服に着替えた蒼汰がタオルで髪を拭きながら現れる。


「杏奈ー、俺のも乾かして」


…何か言ってるけど聞こえない。


あんなー、って口が動いてるのは分かるけど。


鏡越しに、動く蒼汰の口をじっと見つめる。


「…杏奈ー、俺のも」


…聞こえてねぇなこいつ。


「杏奈〜」


「愛してるよ〜」


「世界で一番愛してる〜」


「知ってるだろうけどお前の水着買ったの俺だよ〜」


「これは知らねぇだろ〜俺のとお揃いなんだよ〜」


…何かいっぱい言ってない!?


「杏奈〜結婚しよ…」


「…何!?…っ」


ドライヤーの電源を切ったと同時に聞こえた言葉に顔が熱くなる。


「…チッ」


このタイミングでドライヤー切るなよ!


目を見開く杏奈の顔を見れない。


「…っ、今…」


そっぽを向いて舌打ちする蒼汰を振り返って見上げる。


「…したいです」


「…何で敬語だよ」


「結婚…したいです〜」


「だから何で、って…
俺ら結婚前提で付き合ってるだろ〜?」


「うぅ…」


近付いてきて後ろに立った蒼汰にぎゅっと抱き着く。


優しく生乾きの髪を撫でられ、蒼汰のTシャツに髪を押し付けてみた。


「…こら。濡れる」


…うぅ。濡れてしまえ…


「…あたし、矢野杏奈になれる…?」


「…ならねぇの?」


「ぐすっ…なるぅう」


「ならないとか言っても無理矢理ならせるから」


「…!」


じゃあ…試しに、言ってみても大丈夫かな…


「ならない…」


上目遣いで言ってみると。


ニッと口角を上げた蒼汰。


…え?


「そんなの許さない」


艶のある声で言われ、体を屈めた蒼汰に深く唇を塞がれる。


「…!んぅ…っ」


今更離してなんてやらねぇぞ。


…もう結婚指輪、買ってあんだから。


唇を離すと、脱力してこてっと俺のTシャツに顔を埋めた杏奈。


「…つか、いい加減服着ろ。また襲うぞ」


「…ペアルック」


「…、はいはい。じゃあ着替えましょうね」


「ん…」


甘えるように俺に抱き着く杏奈。


…ベッド連れて行きてぇ。


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