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want to be ...【短編集】
第2章 ペアルック





「…杏奈ー、ベッド行こ」


「…、…いや」


…断られた。


「帰って来てからなら行くー…」


よし。


見下ろしてると、もぞもぞと俺のTシャツに埋めてた顔を上げ、ふにゃりと微笑む杏奈。


…何この可愛い生き物。


やっぱり抱き上げてベッドに連れて行こうかと思ったが、何とか堪えて生乾きの髪を乾かしてやった。










「うわー!やっばーっ」


繋いでた手を離して小走りで店内に入り、飾ってあるTシャツを持ち上げる杏奈。


「これ!これはっ!?」


「…決断早ぇよ。もっといろいろ見てからだろ」


「そっか〜」


嬉しそうに呟いてTシャツを戻し、きょろきょろと見渡しながら入っていく杏奈を追いかけ、手を繋ぐ。


いろいろ言い合って吟味しながら物色して、店内全部一通り見終わったかな、と思った時。


とあるお揃いのファッションに視線が止まった。


「「…あ、」」


「…!?」


蒼汰と言葉が被る。


「あたしの視線の先にすっごくいいのあるよ」


「奇遇だな、俺の視線の先にもいいのあるんだわ」


「あたしのが絶対いいと思う!」


「いーや俺のだ。絶対俺の」


「じゃあいっせーので指差そっ!」


「俺のだからな」


「いっせーの!」


そして指差したのは。


「…ん?一緒?」


同じお揃いのセット。


「やっぱり…っこれいいよね!」


「いんじゃね、さりげなくて」


「男用の模様は小さくて、女用の模様はおっきいんだね。
可愛い〜」


「…」


やっぱ気付いてねぇな、水着の事。


「そういえば蒼汰買ってくれたあたしの水着、
模様大きかったね〜」


…おっと。


気付くか?


「これにしよっか〜」


…あれ?


気づかなかったらしい。


…何だこれ、複雑だな。


気付いてほしいけど、気付いてほしくない。


俺と繋いだ手を引っ張って歩き、かごを1つ取り、目当てのものをかごに入れて嬉しそうに俺を振り返り微笑んだ杏奈。


「よし!お会計…」


「…や、待って」


「?」


無言であたしの手を引き雑貨があるところまで歩く蒼汰。


なにかほしいものあったのかな?


「…ん。こん中から好きなの選んで」


「…へ?」


蒼汰が指差すのは。


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