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want to be ...【短編集】
第4章 お風呂






「蒼汰ぁ」


「あー?」


お風呂沸かすね、と言って風呂場に行ってるはずの杏奈。


なぜか俺の部屋の方から声が聞こえ、不思議に思いながらも返事する。


…が。


「…?」


続きが聞こえない。


何だよ、


「…!」


そこでハッとして慌てて飲みかけのビールを置いて立ち上がり、ソファを飛び越えて風呂場に走った。


「大丈夫か杏奈!つわりかっ?」


「…ん、気持ち悪い…」


脱衣所に座り込んで口を押さえ、蹲ってる杏奈。


慌てて抱き寄せ、背中を撫でた。


「悪い…大丈夫か?出すか?」


「…ん、」


口を押さえる杏奈の口元に、最近いつもポケットに入れておくようになったビニール袋を開いて当てる。


辛そうに吐き出す杏奈の背中を撫で続けた。


…代わってやりてぇな。


子作りセックス、なんて2日間ヤリまくった日からすぐ。


恐らく前から既に新しい命を宿していたんだろう、妊娠検査薬により杏奈の妊娠が発覚。


ただいま妊娠5か月目。


つわりが酷い方なのか、頻繁に吐くし、気持ちの浮き沈みが激しいし、よく熱を出していた。


最近は落ち着いたのか、にこにこと微笑みながらお腹を撫でて、話しかけていたんだが…


「…病院行くぞ」


そう言うとふるふると首を横に振る杏奈。


「…まだ大丈夫。つわりが続いてるだけだもん」


「でも5か月目って落ち着く周期なんだろ?」


妊娠が発覚して、俺は妊娠についてめちゃくちゃ勉強した。


…たぶんそこらにいる女より詳しいよ俺。


「…個人差あるに決まってるでしょ。
心配してくれるの嬉しいけど、病院行く程じゃない」


「…そか」


分かりました…


「でも…あの」


「ん?どうした?」


「…一緒に、お風呂入ろ…?」


「…」


えー…っと?


空耳か?


そういやさっき、俺の部屋から声聞こえたはずなのに何でここにいんだ?


…いや俺部屋から聞こえたと思いつつここ来たけど。


まさか杏奈じゃねぇのか!?


「…本当に杏奈か?」


「…何言ってるの?」


…あ、はい。


杏奈ですね。


最近、…いやかなり前からだけど。


俺の方が杏奈に夢中で、もはや杏奈に尻敷かれてる。


…ベッドでは当然俺が主導権握ってるけどね?


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