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want to be ...【短編集】
第6章 温泉旅行 2日目






「…知ってる」


「…、知ってるって何…」


「んな事、数年前から知ってる」


耳が溶けそうになるくらい優しい声に思わず顔を上げた。


あたしを見下ろす蒼汰はとても優しい表情を浮かべていて…


「…っ、ねぇ、蒼汰、はっ?」


慌てて目を逸らした。


「ん?」


「そ、蒼汰は、どうなの。蒼汰から好きとか、
言って貰った覚え余りないんだけど」


「え〜…」


「!」


えーって何!


「それわざわざ言わなきゃダメ…?」


「だっ、…ん、だっダメ!」


何ちゅう甘ったるい声出すんだ!猫か!


「…おっ、女の子はっ、
こっとばにして貰わないと安心出来ないのっ」


「…そうかお前女だったか」


「!?」


何この人!酷い!


「…じゃあ蒼汰男と結婚したの」


「そうかも」


「っ、女の子はこんな髪長くないよ」


「…ふっ」


「声も高くないよ」


「…そうだな、喘ぎ声超エロいもんなぁ」


「おっぱいもないよ」


「…おっぱいとか感じるんだけど」


「赤ちゃんも産めないよ」


「…んー、男は子供生めねぇもんなぁ」


「…、じゃあ子供出来ないね」


「それは困るな〜」


「っ…!」


言いつつ布団に押し倒されて、抜かれた蒼汰のモノ。


あたしを見下ろす蒼汰の妖艶な表情は、逆光になっててあたしの身体を熱くさせる。


「…杏奈、よーく覚えとけ。
言葉はな、そりゃ何度も口にする事によって
お前は安心感を得るかもしんねぇけどな。
何度も言ってると、特別感がなくなんだよ。
その内ただの"言葉"になる。
俺は、好きじゃないと一緒にいねぇぞ。
いらなくなったモノはすぐ捨てる…知ってんだろ。
俺からの気持ちは、態度で分かんだろ?
比べてみろよ、数年前のセフレ関係の時と。
それでも分かんねーっつうんなら、
今から思う存分、身体に直接教え込んでやる。
「好き」って言葉は一度で十分だ、
何度も言ってほしいなら言ってやるけど」


「…っ」


何も言えなくて、口を閉ざした。


た、確かに…セフレ関係の時と比べたら、特にセックスの仕方とか全然違う。


触れる手も、言葉遣いも、声も、快楽も。


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