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溺れる恋は藁をも掴む
第1章 セフレ
少し早めに家を出て、
約束の噴水公園へと向かう。

高校の卒業式が終わった後、
学校の近くの噴水公園で、
クラス全員が集まり、
大きな噴水をバックに記念撮影をした。

『また会おうな!』
『忘れんなよ!』

最後の別れの言葉を交わして解散した。
淡い青春時代の思い出の場所。


あれ以来、
私は一度もこの公園に来てなかった。


まさかアキがこの場所を指定してくるなんて、
予想もしなかった。

懐かしい。


あの時と同じように、
大きな噴水の前でアキを待った。


腕時計を見ると、
約束の時間3分前。



ワクワクソワソワする。




アキは時間ギリギリに現れた。

仕事帰りなのか?
スーツ姿のアキ。
右手にはビジネスバック。
社会人のアキを初めて見た。
ドキッとした。
格好よすぎて‥‥



「お待たせな、三浦。
夜になると涼しいな。
昼間は蒸し暑いのにな。
六月はジメジメしてるから苦手」

「仕事帰り?」

「うん。そう。
まぁ、顔出し程度だけど」

「そっか。
お疲れ様」

「はい、お疲れさん。
ここなら迷わないで来れただろ?」

「うん。
懐かしいね」

「懐かしいだろ。
飯、いく?」

「いく」

「なに食う?」

「アキに任せる」

「三浦、お洒落してるから、
お好み焼き屋とか焼鳥屋じゃ可哀想だし‥‥
あ!三浦は酒飲めたよな?」

「うん」

「なら、イタリアンでも行きますか?」

「うん」

「美味いパスタの店知ってるの」

「うんうん」


デートだよ‼︎
デート‼︎

私は、はしゃぎたい気持ちを抑えた。
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