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溺れる恋は藁をも掴む
第4章 心の景色
柊が二歳になり、
保育園に入ると母さんは働き出した。
俺は学校が終わると学童に通った。

母さんは親父と結婚した後も、
俺が出来るまでは同じ職場で働いていた。

柊が落ち着くまで専業主婦になったが、
出来るだけ親父との時間を減らしたいのか?
それとも、いつも親父に罵倒される度に言われた、
「誰に養って貰ってると思ってる」
の言葉がそうさせたのか?
は、分からないが、
近所の電気部品会社の事務の仕事が、
たまたま募集していて、
待遇が土日も休みなのと、
9時から5時までの勤務時間が、
柊を保育園に預ける事に都合良かったらしく、
働きに出るようになった。

働き出した母さんは、生き生きとしてきた。
会社に出掛ける前には必ず化粧をし、
清楚な服装に着替え、
柊を保育園に送りながら出社した。

母さんに収入があるお陰で、
俺と柊は、親父の居ない休日には、
映画や遊園地にも連れて行って貰えるようになった。


こうして、俺も母さんもちいさな柊も、
こういう家族の時間を作る事で、バランスを保てた。
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