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溺れる恋は藁をも掴む
第1章 セフレ
実咲と裕也はアキと私の高校時代の、
共通の友人だった。

二人は卒業後、
同じ大学に進学し、
付き合うようになった。
大学を卒業し、
社会人になって、
やっと一通りの仕事の流れが分かってきた頃、
実咲は裕也の子供を妊娠した。

いわゆる授かり婚。

身内や友人を招いての結婚披露パーティーで、
私はアキに再会した。

アキは裕也と仲が良く、
パーティーの幹事を任されていた。

久しぶりに会う、
懐かしい同級生の顔ぶれの中、
アキは、スーツを着こなし、
メンズのファッション誌に登場しても、
可笑しくないほど、
素敵な男性になっていた。

パーティーでも、
アキは一際目立つ。

「久しぶり三浦(華)」
と声を掛けられた時はドキッとした。

「アキ‥‥
幹事お疲れ様」

「幹事、ちょー面倒ぃ!
裕也が頼みこむからよー
まぁ、めでたい席だし、
引き受けてやったわ」

アキは笑う。


その笑顔に懐かしさが蘇る。


あの頃‥‥‥

私は密かにアキに恋をしていた。
アキと隣の席になった時、
窓際の一番後ろの席で、
アキは綺麗な横顔で、
外を眺めていた。
ドキっとしたけど、
その気持ちは内に秘めた。


アキは特定を作らない主義。
綺麗な子や可愛い子が告白しても、
決してなびかない。


私は自分のルックスに自信が持てなかった。
いわゆるデブで寸胴体形。
そんな私がアキに相手にされるはずもなく、
アキに釣り合うはずもなかったから‥‥


クラスメート、席は隣、イケメン、
カワイイ、ミステリアス、
優しい瞳、影アリなどと、
アキに関するワードで、
片思いを楽しく妄想して、
楽しむ地味な私だった。


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