この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
大きな瞳に映るのは
第19章 告白



キュッ


水道の蛇口を締める


顔を上げると
鏡に映し出される自分の顔

相当疲れ切っている

 
( もう今日は帰ろう… )


美術室へ戻り鞄を手に取る
とぼとぼと廊下を歩き
ひとまず昇降口を目指す


もともと貧血体質なのもあるのか
視界が時折ぐにゃりと歪み始める


思わず下駄箱で座り込む




静まり返る学校

まだ先生や生徒は居るが
鉢合わせる確率は低い



『 木下音夢 』



そばで名前を呼ばれた
この声は遙だ
しかし気分が悪く顔が上がらない



『 どうしたの 』



続けて優しく彼は言う
しかし距離は縮まらない



『 体調悪いの 』



単調に声を向ける
その声から感情はつかめない



『 乗ってけば? 』



ああ、それはありがたい
と心の底から思った。
恋愛感情などではなかった



『 立てないの? 』



少し距離が縮まった気がした



『 …死んだ? 』


ふっとからかう様に零す言葉
まったく失礼な奴だ


「 … 勝手にこ、ろすな。 」


強気で吐こうとするが余裕がない


『 生きてるなら乗ってくでしょ? 』

「 … ん 」

『 なんか冷たくねー? 』


いつもの遙だ。
いつもの一之瀬遙だ。

いつもの人気者の
そして自由奔放で能天気な遙だ。



足音が遠のき再び戻ってくると
私の鞄を手に取った。



『 おもっ。誰かさんみたい 』


はっ、と笑いながら言う
思わず顔をあげると
私の鞄を肩にかけ
振り返って私を見る一之瀬遙が居た



『 帰ろーぜ! 』


ふらつきながらも立ち上がり
遙の後ろを歩く。
遙のその陽気な笑顔からは
私の心配している様子は一切なく
でも時折振り返って
私を確認する遙がいた。


/223ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ