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大きな瞳に映るのは
第10章 スポーツ科


― 蒼真side ―



今日は生徒会の集まりがないので
ジャージで帰れる。楽な日だ。

スポ科はスポーツ専攻なので体育の授業が多い。

なので最終授業が体育の日も少なくなかった。


連れと雑談を交わしてから教室を出ると

廊下の真ん中で木下が突っ立っていた。


『 … 木下、何してんの 』


そう声を掛けたら、木下は追突事故を起こしたと言う。


いやいや、車の運転じゃあるまいし相変わらず意味不明なことを言うな、と心の中で思った。


どうやら橘とぶつかったらしい。

まあ橘はいいやつだ。
だから心配なんてなかった。


けれど、正直なところ
どの学年にせよ、木下にはスポ科とはあまり関係を持って欲しくない。


スポーツ専攻の彼らは、どの部だろうと
やはり体つきがまったく別物だ。

それにやんちゃ野郎の集まりでもある。


軽く暴力沙汰を起こすのはスポ科に多かった。





「 どういうこと? 」

『 力づくで女を襲おうとするやつも居るって事 』



回りくどい説明が苦手なのでそのままのことを木下に伝えた。



「 いやー私も結構おとこまえって言われるんだけどなー 」

『 そういう意味じゃないって… 』


自分の前髪をわしゃわしゃと触りながら木下が言う。
今更ながらこいつはあほなのか、と呆れてしまう。



一度は好きになった人、嫌な思いはさせたくないから忠告しているのに。




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