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大きな瞳に映るのは
第12章 男と女



キキッ --



遙は自転車を止める。
遙の自宅に戻ってきてしまった。





『 泊まってくでしょ? 』



その優しい問いかけに私は甘えてしまう。





ガチャ … パタン




「 お邪魔します… 」




再び遙の家に入ると玄関が荒れていた。
フロアマットは吹っ飛び床には靴が散乱している。
どうやら立てかけてあった靴にぶつかった後の様だった。



「 なにこれ … 」


『 あー… 慌てて出たからいろんなものが吹っ飛んだ 』



遙は荒れた玄関に目をやりながら
照れ臭そうにポリポリと頭をかく。


私を心配して、慌てて家をでたらしい。
でも心配したという事は遙の口からは出てこなかった。



「 っふ … 」


少しだけ嬉しくなり笑みを漏らして靴を並べる。



『 あーいいよいいよ。自分でやるから。
  それより風呂、入りなよ。』


そう言いながら遙はTシャツとジャージを差し出してくる。
寝巻に使え、ということだろう。




「 え… でもこんな状態じゃ…

『 なに、一緒に入りたいの? 』



遙の言葉にぎょっとする。
にやにやと意地悪な笑顔で私を見る。お得意のからかいだ。



「 んもー…っ 」


少しふてくされながら、遙から寝巻を受け取る。



『 なに?不満?一緒に入ってあげるよ? 』

「 だー!もう!一人で入るってー! 」

『 ぷっ … んなことわかってるよ 』



ケラケラと遙が笑う。
上手くのせられたもんだ、まったく。



そう思いながら浴室へ向かった。



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