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大きな瞳に映るのは
第12章 男と女


― 遙 side ―




音夢が怒った様に一人で家を出て行ってしまった。

あんな可愛らしい姿を見てしまったら本能で誰もが動くだろ。



しかしこんな時間に一人で歩かせるのは危ないと思い
送っていくと言ったのに耳も貸さず
ドスドスと怪物みたいな足音を立てながら足早に出て行った。



さすがに寝巻でおいかけるのはマズい。

かといって一人で帰らせて何かあってからでは
それこそたまったもんじゃない。



急いでスウェットからジャージに着替える。


とりあえず財布と携帯だけ持って家を出る。



焦りすぎてフロアマットが吹っ飛んだ。
その拍子に立てかけてあった靴に足をひっかけ靴が散乱する。



おかまいなしに玄関を出ると
自転車に飛び乗った。




本当に俺は木下音夢を追いかけるのが趣味になったのか

ってくらい、今日は音夢を追いかけている。



そんなことを考えていると音夢の後姿を見つけた。


声をかけようとしたが、誰かと一緒だったのでやめた。


少しだけ距離を縮めて相手が誰なのか見る。




あれはスポ科2年の進藤だ。

自分も何度か絡んだことがある。

あいつはただのヤリチンのクソ野郎だ。



とりあえず二人の様子を伺いながら気づかれないように後を追う。



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