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公衆便所から始まる
第6章 揺らぎ
有紀人さんと目を見交わした香川さんは、

「こーれユッキー弱いやつねー。年下わんこのおねだり」

はぁっとわざとらしくため息をつく。

「輝、降ろして」

アナルから指を抜いた俺は、酒瓶を倒さないように慎重に有紀人さんの脚を導いて、俺の前に立ってもらう。

「あの……」
「動画なんてちょろっと出したり入れたりしてるだけでしょ? ほしきゃあげるけどそのスマホからは削除してね」

有紀人さんにニッコリされた俺は慌てて自分のを取りに行く。
マッハで戻って勝手にLINEをふるふるして動画を転送した。
そして言われたとおり香川さんのスマホからは削除する。

「あーあー、いいもん撮れたのになー」

なんてぼやく香川さんに構ってる暇はない。ぽいっとスマホを返す。
俺はやることを手早く済ませてしどけないかっこのまま待っててくれた有紀人さんを腕の中に閉じ込めた。
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