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公衆便所から始まる
第3章 二人きり
あれから何度かイかせてくったりした女を自分でも気持ち悪いくらいの優しさでタクシー代渡して放り出し、俺は個室のドアを後ろ手に閉めた。
3000円は痛いけど……目的のためにはしょーがない。

てか、大人が三人入って閉められるドアじゃなかったし、開けっぱでヤってたのよね俺ら。

「輝ありがとう。でもやっぱ俺が出すよ」

積極的には喋らずに、便座に座ったまま俺らのやりとりを微笑ましげに見てた有紀人さんが、半分萎えた息子をそのまんまにしてGパンのポケットから財布を出した。
しょーじき助かる。助かるけど……

「っいいよそんなの。それよりさ……」

俺は有紀人さんに唇を寄せた。
拒絶も抵抗もない。軽く食んでから、徐々に深く合わせる。
同時進行でシャツをたくし上げて胸元をなぞった。
その指を腰骨まで下ろそうとしたときに、有紀人さんが体をよじる。

「くすぐった……っ」

くくっと笑うのに、俺はなんだかもやもやする。

ここまでしといてこの扱いかよ……
くすぐったいとこは性感帯なのに感じないって、スイッチ切れてるってことじゃん。
そりゃま、約束なんてひとつもしてないけどさ……

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