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手探りな絶望
第4章 野球


それから
寺田は
たらふく飲んで
たらふく食べ


「ほんじゃ、帰るわ」


そう言って
腰を上げた



いつものように
テーブルはビールの空き缶だらけで
寺田は
いつものように
上機嫌だった


けど


玄関を出る前に
急に
真面目な顔をして
こんなことを言った




「元気そーで
よかったよ

あの日
なんか変な女と
関わったりして
余計に落ちてるみたいだったからさ


ま、気になる女がいるとか
いいこった


はぁ〜…


俺も女欲しいなぁ〜…」


バタン


捨て台詞のようにして
ドアを閉めた寺田は
それから
いつものように
チャリンコで
帰っていった





あの日



佐々木冬実に
会った
あの日



忘れたくても
忘れられなくて
絶対に忘れたりなんて
しちゃいけない

あの日が




また




佐々木冬実のおかげで
より
忘れられない日に



なってしまっていた
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