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サイドストーリー4
第12章 嘘つきは恋の始まり
「俺、本社勤務の辞令が出て、谷城を奪おうと思って来たんですけど」
「・・・・」
「野口さんの仕事ぶりを見て、やめました」
「・・・・」
「昨日、まとめてもらった案件、あれ俺の担当になりますから」

あ・・・ぁ。昨日までのあれか。
「それに。桐生さんにたぶん俺じゃ無理って笑われましたけど」
「・・・・」

久しぶりに桐生さんの名前を聞いて、少し嫌な気分になる。

約束の5分はとうに過ぎて、
「顔を見に来ただけ。俺仕事が残ってるから」と
部署に帰った。

なんとなく浮かない気分で午後の仕事を終えて家に帰ると
サプライズでチコちゃんがいて
「どうしたの?」
早く帰ってくれば良かったと後悔した。

「今日、清水君に桐生さんのコト何か言われたの?」
「え・・・」
「清水君は気が付いているようだったから」
「・・・・」

「桐生さんは私にはもう過去の人だよ」
「うん」
「清水くんに、告白されたけどそれもちゃんとキッパリお断りしたよ」

あいつっっ!
諦めるとか言っておいて!
ちゃっかり告白してフラれてるんじゃないかよっ!

そんな俺の無言のしかめっ面を見て。
チコちゃんは優しく笑う。

「心配しないで。私は野口さんだけ」

俺の肩に手をついて、背伸びをして、俺のほほにキスをする。
このキスのためなら何でもできる。

そう思ったPM9:30分だった。

END*****

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