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サイドストーリー4
第29章 好きと言って
5月の月のきれいな夜だった。
そろそろ店を閉めようかと表に出たらあまりの月のきれいな光に
しばらく眺めていた。

「レン」
聞きなれたその声の主は
その口紅の色を見れば麻子だと分かるほどに妖しい色を放っていた。
「麻子」

相変わらずきれいな顔で、月の光の下に立つ麻子は
何年ぶりなんだろう。

「何かあったか?」
もともと俺と麻子は仲が悪い。
お互いに相いれない何かを感じていた。
その麻子が俺に会いに来るなんて。

「私、結婚するのよ」
「ハルトとか?」
考えもせずに思わず出た俺の言葉に麻子が笑った。
「まさか」
「・・・・」
「会社の人。海外転勤になるからついていくの」
「・・・・」
「結婚式も向こうでするし、もう当分ここには来れないと思うから
とりあえず報告に来ただけ」

当分ここに来れないって・・・
卒業してから会うのさえ初めてなんだけど。


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