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サイドストーリー4
第29章 好きと言って

「いつ行くんだよ」
「明日」
「もう・・・ハルトのことはいいのか?」

「・・・・あんたってカンが良すぎるところが嫌いよ」
「・・・・」
「そのカンのよさ、ハルトに半分あげなさいよ・・・」
「・・・・」
「ハルトのことは――もちろんいいのよ。だから結婚するの」
「そうか」

麻子は月を見上げた。
今日は珍しく雲がない。
5月の少し汗ばむような日中とは違って爽やかな風が吹いていた。

「幸せになれよ」
「世界で1番幸せになるわ」

その言葉に思わず笑いがこみ上げた。
「麻子らしいよ」

どこまでも強気な麻子の言葉に学生時代を思い出さずにはいられない。

「いつかまたね」

そういって、店で1番高い酒を買って笑って帰って行った。
笑ってるならいいか。あの顔なら大丈夫だ。
麻子の後姿を見送って、
ため息を1つ吐き出して月を見上げた。

学生時代から全く変わらない月がそこにいた。


あひ見しもまだ見ぬ恋も ほととぎす月に鳴く夜ぞ世に似ざりける

――思いを遂げた恋にも遂げぬ恋にも、
ほととぎすが月に鳴く今宵こそふさわしい――
(後撰和歌集 157番)


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