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月の吐息
第3章 雲隠れ


カレンダーを捲ってから2週間。
とっくにミラノから帰ってきてる健二の着信を全て無視して、私は仕事に集中した。


あの一晩は夢! 酔ってたせい。
そう着地させて、健二のことは忘れようと決めた。


ネックレスも、もう付けてない。
小さな箱に戻して部屋の棚に置いてある。


大体、あんなことされて、次の日の朝は遅刻するし。
(目覚ましのアラーム設定を忘れた私が悪いんでしょうけど、あれは健二のせい)


なんだかボーっとして半日出勤なのに、発注ミスをやらかして大目玉くらったし。
(散々な誕生日だった。それも健二のせい)


気晴らしに参加した合コンでは、二次会のカラオケで友達がドリンクをひっくり返して、お気に入りのワンピースに染みが着いちゃったし。
(ついでに、これも健二のせい)











カレンダーを捲って20日以上、過ぎた。


健二からの着信も途絶えて、合コンも懲り懲りだな、と思った頃、ふと、あのイケメンに会いたくなった。


あのバーテンが言ってたカップルは、その後、どうなったんだろう?
私とは違う結末を手に入れようとしてるのかな。


特に今日は予定も無いし、仕事帰りに、フラッとBARに立ち寄ってみた。


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