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月の吐息
第1章 三日月
「っていうかさ。あの人、凄いイケメンじゃない? あの、奥にいるバーテンさん。健二、ここ常連なら、仲良かったりしないの?」
「残念。俺は、もっぱら窓際でリラックス専門」

カウンター内に聞こえないように、こっそり尋ねると、健二が指さしたのは、ガラス張りの壁側に近い丸テーブル。
今は明らかに、パッと見でカップルと分かる男女が座っている。
なんだ、あそこに座るんじゃ、バーテンと仲良くなんて、ならないか。
こっち側のバーテンも、渋くて寡黙そうで、かっこいいのに。ちぇ。

「残念。知り合いなら紹介してもらおうと思ったのに。・・・私も常連になって、バーテンさんと話してみよっかなー」
「会社、出会い無いって言ってたもんな。相変わらずか?」
「うん、相変わらず。営業は大体、客先に行ってて居ないことが多いし。世渡り上手なお局様にイライラしながら勤務」
「美月も、お局様の前じゃ番長にはなれねーか」

小さく笑う健二に、肩を竦める。

「あ、でもね。今度、人事異動で、若い男の子がウチの営業所に来るらしいの」
「へぇ?」
「若くてイケメンでノンスモーカーであることを祈ってる。・・・あ、そういえば、そっちは?」
「ん?」
「ほら、こないだ会社の飲み会があるって言って、映画の約束、蹴ったじゃん。予約した翌日に言うんだもん」
「あぁ」
「チケット勿体無いから、一人で見に行ったんだからね? ホラー映画なのに!」
「あー、ごめんって。後で変顔メールしてやったじゃん」
「あんなんじゃ、呪い映画の恐怖は晴れないっての」

言いながら、スマホの画面いっぱいに広がった健二の変顔を思い出してしまう。
負けだと分かってたけど、思い出し笑いが滲んでしまい、健二も調子よく笑ってる。

「ははは、飲み会じゃ、いい子は居なかったかな」
「ふーん。健二も理想高そうだもんね」
「そうか? ・・・お、お前、明日も早いだろ」
「うん。あ、もう、こんな時間? 健二だって、明日から海外でしょ?」

BARの時計が、10時40分になろうとしている。

「会計、済ませとくからエレベータの前で待ってて」
「分かった。あ、トイレ借りてくる」
「おう。入り口の横、エレベータ脇の通路」

鞄を持ってトイレに行く。
化粧も軽く直して、アルコールの気持ちよさに笑みを浮かべながらエレベータの前に戻った。
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