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講義の終わりにロマンスを
第4章 決戦の金曜日


  *  *  *


佐々木が控室に入るのを見送ってから、小鳥遊はノートの端に何か書きつけると急いで千切ってトイレに戻った。


「真菜ちゃん。今のうちに、…帰れる?」


まだ赤くなったままの真菜が頷くのを見てから、急いでエレベータ前に彼女を連れて行く。


「気をつけて」


エレベータに乗り込んだ彼女に、小鳥遊はノートの切れ端を握らせると、上体を倒して腕だけ箱の中へ伸ばし、[閉]ボタンを自ら押した。


呆気にとられたままの彼女を笑顔で見送ってから、苦笑してつぶやく。





「こんな疲れる接客、久々だっつの」





  *  *  *





「シンさん。シンさんが出勤した時、誰か客でも来てた?」
「いや。小鳥遊しか居なかったはずだが」
「ふーん」
「なんだよ、国崎。その含みのある返事は」
「んー。それがさ、エレベータが1階にありまして」
「1階?」
「そ。ほら、美容室とネイルサロン、昨日から改装中だろ? あそこ同じ経営者だし。てことは、不動産の誰かが使ったのかな、とも思うんだけど、あそこの従業員が勤務時間中に外に出歩くの、見たことなかったから。誰か1階に降りた奴でもいたのかなって思ってさ」
「そうか」



「まぁ、俺の気のせいだろうけど。待たずにエレベータに乗れたから意外だったって話」




「考えすぎじゃないか? おっ、小鳥遊。着替えたな。帰るぞ」




「あ、すいません、佐々木さん。あと、国崎さんにも、その…、報告が…」






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