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兄の狂気
第3章 誘 惑







瞳SIDE


お兄ちゃんがあたしをやっと離してくれたのは、
お昼を過ぎてしばらくしてからだった。


お風呂場からお兄ちゃんの部屋に移動して
ベッドで抱かれていたあたしの身体は
フラフラで歩けなくなっていて。


汗と体液を流しにお風呂場に行くのも一苦労。


もういっそ、時間的にもサークルしか行けないし
このまま家にいようかな、って思ったけど。


スマホを開いていろんな人からのLINEを見て、
やっぱりサークルだけ行こうかな、と思った。


…なんだか、いつも一緒の3人の顔が見たくなった。


そのLINEを美音や哲平くんに送ると、
すぐに既読がついて「待ってるよ」の言葉と
可愛いスタンプが返ってきた美音と、
しばらくしてからスタンプや顔文字の
LINEが10個程度きた哲平くん。


昨日の哲平くんからのLINEを見て、
気を遣ってくれてるな、と気付いた。


あたしに気を遣わせないように、
今まで通り、変わらず仲良くしていけるように…


その優しさが嬉しかった。


…あたしだって、今の心地いい関係が
変わっちゃうの嫌だもん…


運動しやすい格好に着替えながら、
考えるのは哲平くんの事ばかり。


今、講義中だよね。


哲平くん、音楽聴くの好きだから
講義中も聴いてるのかな?


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