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兄の狂気
第10章 エピローグ








分厚いガラス越しに、目の前を通り過ぎた夫婦を
ふと目で追い、その幸せそうな姿に口角を上げた。


…そうか。


お前も元気に過ごしてるんだな。


お前と会わなくなって、もう5年…


誕生日やお正月に、物や金を差出人不明にして
送ってたけど、俺だって気付いてる?瞳。


携帯、拒否にしようとしたけど…、
結局出来なかった。


1つでも何か繋がりを残しておきたかったから。


…女々しいよな。


こんな俺に…返信を全く返さない俺に対して、
ちょくちょく近況報告のメールも入れてくれて。


ちゃんと見てるよ。


ありがとう。


…なぁ。


最初は辛かったよ、お前に会いたくて会いたくて。


その華奢な身体を力いっぱい抱き締めて、
絶対離れられないように…また、鎖で繋ぎたかった。


でも、ダメだよな。


おかしいよな、そんなの。


俺達は、義理とはいえ兄妹…


思いを通じ合わせてはいけなかった。


思いを消すのにすごく時間がかかったよ、前みたいに
お前を忘れたくていろんな女を片っ端から抱いた。


狂ったように抱いて抱いて抱きまくって、
堕ちるところまで堕ちて、空っぽになってた。


でも、そんな俺を救ってくれたやつが現れてさ、
今…隣にいるよ。


最初は瞳だと思い込んで抱いてたけど、
こいつの優しさに触れて、こいつをよく知って。


今じゃ夢中だ、絶対離してやらない。


だからいつか…お前に会いに行くよ。


今隣にいるこいつと、
こいつのお腹にいる、新しい命と一緒に。


お前はもう二児の母なんだな、
1人目は俺の子か?


…なんて笑えない冗談は言わないでおく。


あれから数年後だもんな、有り得ねぇか。


お前が幸せそうにしてるなら、
俺も頑張って生きていけるよ。


「何笑ってるの?翔」


隣の愛しいこいつが、俺を不思議そうに見上げる。


「何でもねぇよ」


言いつつ、華奢な肩を優しく抱き寄せた。






fin.


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