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兄の狂気
第3章 誘  惑

学科は一緒で棟も同じだけど、廊下とかで
すれ違うかって聞かれると全然すれ違うことがない。
大学で来る時間も違うし帰る時間も違う。
会えるのは、お昼に食堂で一緒に食べる時と
サークルで活動する時くらい。
サークルは毎日やってるわけじゃないし、
講義が午前中だけとか3限からとかだったら
食堂で一緒に食べないし。
同じ学年だったらなぁ…
席とか隣に座ったりして、テスト勉強も一緒にして
プレゼンとか研究とかも一緒に出来るのに。
1個差って、小さいようですっごく大きい。
でも絶対に埋まらない。
悲しいなぁ…
それに哲平くん達のクラスって、可愛い子が多いって
入学式の時からすっごく騒がれてたんだよね。
確かに、美音と一緒にこっそり見に行くと、
おしゃれでスタイルよくて可愛い子ばかりで。
「スタイルよかろうが可愛かろうが関係ない!
あたしもっと頑張るしっ」
そう意気込んでた美音を見て、
翔太くんの為なんだろうなーって、
微笑ましくなったのは内緒。
その時はあたしは、単なる美音の付き添いで、
まだ哲平くんを男として意識してなかったから
あまりよく見てなかったんだけど…
哲平くんが女の子と話してるところ、
見たことなかったような。
 

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