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第5章 愛 欲

｢哲平くん｣


顔を歪めてる哲平くんを呼び、腕を掴む。


｢あの…ね。あたし、ピル飲んでるから…
しなくても、大丈夫だよ｣


目を見開いてあたしを見つめる哲平くん。


…引かれたかな。


引かれた、よね？


だってお兄ちゃん…
初めてした時避妊してくれなかったから。


びっくりして泣きながらお願いしたら
ピル買ってくれたけど、
それ以来ずっと中出しされてて…


お兄ちゃん、医療系の所に就職してて
そういう薬は手に入りやすいし、
…何て言ってたかな、社割？


社割か、友達に安く売ってくれる人がいるらしくて
それで定期的にあたしに渡してくれる。


中出しされた時のリスクは理解してる。


今は大丈夫だけどピルの副作用に苦労したし
ピル飲んでるっていっても、いつ失敗して
お兄ちゃんの子供出来ちゃうか分からなかったから
いつもビクビクして怖かった。


…いつのまにか、それが何年も続いて
感覚が麻痺しちゃったんだけどね。


避妊しないでセックスするって言ったら
哲平くんみたいな反応するのが普通だよね。


…やっぱり哲平くん、好きだな。


｢…大丈夫なんですか｣


哲平くんの低い声が聞こえて俯いてる顔を覗き込む。