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兄の狂気
第8章 感 情







哲平のところに行くんだ。


「お兄ちゃん…行かないで」


なぜかそう感じて、初めて引き止めたあたしに。


「邪魔者、排除してくるから…」


そう言って扉を閉めたお兄ちゃん。


鍵はかけられなかった。


かけられなかったけど、あたしの身体は
ベッドと重い鎖で繋がれ、扉まで届かなかった。


ずっとずっと泣き続けて、
生きる気力を失ってベッドに身体を横たえていた。


もう…いい。


お兄ちゃんが帰って来たら舌噛んで死んでやる。


そう思って、何とか身体を起こして
壁に寄りかかっていたら…


来てくれたのは、哲平だった。


「瞳!」


声ですぐに分かった。


そして、入って来てくれた哲平の姿を見て…
涙腺が崩壊してしまった。


あたしを確かめるように抱き締めてくれる腕、
心底安心したような優しい瞳、
求めていた哲平からのキス。


もう絶対離れたくない。


泣きながら傷だらけの哲平を抱き締め、
改めて哲平のことが好きだと実感した…


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