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夢想姫の逃避録
第3章 大輪の花
部屋を出ると、オシャレな平屋建てのちょっと広めの家だという事が分かった。

廊下を進むとその先はリビング。
その奥にキッチン。

ごく普通のありきたりな感じの造りだった。
でも、窓から入る木漏れ日が、いい感じに家全体を明るく照らしていた。
心地良さそう……

「何食べよっかなー何食べたい?」
「うーん……ユウガの好きなものでいいよ。緋奈はあんま朝食とった事無いからわかんない……」
「そっか。緋奈の好きな物あったら一緒に作ろうって思ってたけど……じゃあ俺が作るから緋奈はソファ座ってて?足とかも治療したけど、まだ完全に治ったわけじゃ無いしさ。待ってて?」
「いいの?……ありがとう……」

ユウガに促されたから、そっとリビングのソファに申し訳程度にちょこんと座った。
あの短時間にも関わらず緋奈の足はほぼ完治しているようなもんだった。
膝の擦り傷は綺麗に治っていて、足首も包帯は巻かれているけど、痛みも腫れもほとんど無かった。
寝てる間に治療してくれたのかな?
ユウガって、魔法が使えるんだ……凄い……。
感心してしまった。

耳をすますと、キッチンからカチャカチャと家事をする音がする。生活音っていうあれかな?
ふと、その音が聞こえてとても嬉しかった。
普通の生活に憧れを感じていたところがあったから、思わず胸が高鳴った。
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