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Dolls…
第11章 人形の瞳は…
このやり取りと椎葉さんの物言いを聞いて、シュウちゃんは何かに気づいた。

今のやり取り、昨日今日の浅い関係の男女の会話じゃない。

完全に私は言い負かされてしまっている。


「勝手にお邪魔してすいません。俺が無断でこの屋敷に入ったんです。椿の幼馴染みの平 修也と言います」


シュウちゃんの声にも怒りが感じられた。


まるで投げつけるかのような口調で椎葉さんに言い返している。

椎葉さんもシュウちゃんも、威嚇しあうように睨み合ったままで私はその雰囲気を感じながらも動けずにいた。


「不法侵入者が何を偉そうに…」

「人が住んでるなんて思ってなかったので…」


一触即発とはこの事だ。

外は大雨で雷鳴と稲光が空を駆け巡っている。


頭の切れる椎葉さんがシュウちゃんに何をするかわかったものではない。

私の事を心配して探しに来てくれたシュウちゃんにこれ以上迷惑はかけられない。

せめて、シュウちゃんだけは守らなきゃ…。

「シュウちゃん、この人は…、あの…っ」

今にも殴りかかりそうなシュウちゃんを静止させようとシュウちゃんの体を抑えようとした時だ。







━━━━━フッ


椎葉さんの口許が優しく歪んだかと思うと





「びしょ濡れじゃねぇか。そのままだと風邪をひく。風呂貸してやるから入って来い」



「……なっ」

「え?」



今にも殴りかかりそうな空気が一変した。

椎葉さんの口から出た答えは、私やシュウちゃんの想像を越えたもので、私もシュウちゃんも目を丸くしてしまった。

「お、お風呂、ですか…?」

私がそう尋ねると…

「お前の幼馴染みなら、それなりにもてなさないとな。俺はまだ仕事があるから風呂場まで案内してやれ。場所はわかるだろ?」

「あ、はい…」

「着替えは後から用意させる」
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