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Dolls…
第12章 ゆるやかな崩壊
「いつまでもその格好じゃ風邪引いちゃうよ。それじゃあね。部屋で待ってるから」

「ちょ、おい…っ」


そう言ってシュウちゃんの引き止める声を無視して私は脱衣場を後にした。

シュウちゃんの反応が少しばかり気になったけど、それよりも早く温かいお風呂に入ってもらわないと風邪を引いちゃう。



勢いはなくなったとは言え外はまだ雨。

山の天気は変わりやすいって言うしいつまた天気が荒れるかもわからない。

それに外はもう真っ暗。



今日はシュウちゃんは帰れそうにないな。

ここに泊まってもらった方がいいかも知れない。

そうなると椎葉さんに部屋や新しい服を用意してもらわなくちゃ。


「ふふ…」

何だか、心がくすぐったい。


久しぶりに幼馴染みに会えたから?

それとも椎葉さんが優しかったから?

考えなきゃいけないことは山程あるけど懐かしさと嬉しさで心が暖かくて足まで浮き足立ってる。


シュウちゃんは昔からあんな調子だ。

いつも私の心配をしてくれて、かと思えばこんなむちゃをして、いつも周りを驚かせる。

だけど、今日の出来事は人生で1番驚かされた。

まさかこの雨の中を私を探しにこんなところまで来てくれるなんて…。


本当に、シュウちゃんらしい…。

くすくすと思い出し笑いを抑えながら脱衣場からか離れようとした時だ。










「随分ご機嫌だな」

「………えっ?」






私の後方から声が聞こえた。

シュウちゃんとは違う男性の声に反応するように振り返ると

そこにいたのは…


「あ、椎葉さん…」

それは、先程仕事に戻ったはずの椎葉さんだった。

様子を見に来てくれたかのように私とは反対側の通路から脱衣場に来たらしい。

迷路みたいに大きくて広い屋敷だから通路はいくらでもあるだろう。




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