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第13章 暖かな腕の中

シャワーを浴び終えたシュウちゃん。

椎葉さんから借りた黒いシャツと黒いズボンを見に纏っていて、だけど髪の毛はびしょ濡れ状態。

「お前、そんなところで座り込んだら冷えるぞ？」

「シュウちゃん、こそ…、んっ、髪の毛濡れてる…」

「あぁ。別にほっときゃ乾くよ」

セットした髪は全て下りていて、さっきまでのシュウちゃんとは雰囲気が変わっている。

…幼くなったというか。

「あ、温まった…？」

「おぅ。サンキュー」

よかった。

これで風邪をひく心配もなさそうだ…。


いくら温かい季節とは言え山奥は冷える。

長時間も雨に打たれたとなると尚更だ。



それに、お礼を言うシュウちゃんの笑顔を見てる限り脱衣場での行為はバレてなさそうだ。



「あとさ、椎葉さんに"食事も食ってけ"って言われたんだけど…、さすがに悪いよな…」

椎葉さんがいるであろう脱衣場を親指で指差して私に合図を送る。

椎葉さんは…、先程の汗を流すためにシュウちゃんと交代するかのように浴室へ。

…私もシャワーを浴びて汗を流したいのに。

「べ、つに…、いいと思う、よ…っ。ここ、いつもハウスキーパーさんが晩ごはんを作ってるみたいだか…ら…」

途切れ途切れになる私の声。

拭いたばかりの汗がまたしても全身から滲み出てくる。


「お前…、マジでどうしたんだよ？気分でも悪いのか？」


座り込んだまま立とうとせず全身汗まみれ、声も途切れ途切れの私を見てシュウちゃんは心配してくれている。

私と同じ目線までしゃがみこみ、私の顔色を伺っている。


「はっ、大丈夫…っ。ちょっと、貧血…」

「大丈夫じゃねぇじゃん！顔が真っ青だぞ！」

「本当に…、大丈夫…っ！んっ」