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第13章 暖かな腕の中

心を無にして、何も考えずに、ただ時間が過ぎるのを待てばいいだけ…。

ここにある人形達のように心を空っぽにして…。


椎葉さんから目を反らしながら後ろに両手を付いて体を支え、足を広げていく。

中にあるローターの振動さえ感じないように、力を抜きながら…。



「ふ…っ、んぅ…」

限界ギリギリまで足を広げた。

元々私の体は固い方だし開脚はそんなに得意じゃない。

それでも、椎葉さんには完全に見えてるはずだ。



開脚した私の姿を椎葉さんは黙って見つめ続けている。

椎葉さんから目を反らしてるから椎葉さんの様子はわからないけど、今の私をただ黙って見つめ続けてる。


「……………っ。」

心を圧し殺し何も考えないようにはしているが、やはりこの格好は恥ずかしい。

早く中で蠢いているものを取り払って欲しかった。



「くすっ。まだ触れてもいないのに…」

「……っ！」

その一言で、身体中の血液が一気に頭部に登った。

顔は真っ赤に紅潮して、頭はクラクラ。

自分の状態は自分が1番わかってるだけに、尚更恥ずかしかった。


だけど、今は口答えしてる余裕なんかない。

口答えなんか後でゆっくりすればいい。


「は、早く…、取って下さ…」

「だったら、その状態でこちらを見ろ」

「…………っ」

「足を閉じないように自分で足を固定しながら…」



少しでも恥ずかしさを和らげたくて椎葉さんから目を反らしていたこと、椎葉さんは全て見透していた。

人の弱味に漬け込んで、どこまでも私を追い詰めていく。


だけど、ここまでしたのに今更ギブアップなんか出来ないし、椎葉さんがそれを許してはくれない。

ここまでしたからには、椎葉さんの命令に従うしかないのだ。

じゃないと、この地獄は終わらない。