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Dolls…
第16章 誘惑の果て
まるで喧嘩してるかのような2人を眺めていると…。


━━━━━━…。






あ…っ。






椎葉さんと向かい合ってるその男性、何かの気配を感じたのかその視線が椎葉さんから外され

椎葉さんの後ろの階段脇で佇む私に向けられた。








「あ…っ」

そう思った時にはもう遅い。

隠れる暇もなく、私とその人の視線が空中でぶつかった。






「………。」

その男性は黙ったまま私を見つめてる。






ヤバイ、隠れなきゃ…。

これじゃ完全な盗み見だ。

どうしよう…。

椎葉さんに怒られる…。








あたふたと焦り隠れ場所を探した。


すると…











ニコッ…


「こんにちわ」











私の姿を捕らえたその男性は、怒ることもなく

私に笑顔を向けながらそう言った。

「あ…」

椎葉さんとは対称的なその底抜けの明るい笑顔に、一瞬焦る気持ちが収まった。








自分を通り抜け挨拶を口にする男性を見て椎葉さんもその視線を追いながらくるりと振り返る。


「椿っ!?お前、何してんだっ!?」

「え?あ、あの…っ」


しかし、椎葉さんの声で焦る気持ちが呼び起こされてしまった。



ヤ、ヤバイ…、見つかっちゃった…っ!

あの人の笑顔にびっくりして足が動かなくなってしまったのだ。



私の姿を見つけるや否や、椎葉さんは早足で階段を登り私の方へと急ぐ。

いつもの椎葉さんらしくなく小走りで、焦るようにして。


「何してるっ!部屋に戻れっ!」

私の側へと駆け寄った椎葉さんの瞳は、焦りと怒りが入り交じっていた。



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