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Dolls…
第19章 泣きながら、あなたを…
椎葉さん。

椎葉さんは私の事を綺麗だと言ってくれる。

本当に…、少しでも本気でそんな事を思ってくれてるの…?

お世辞やリップサービスとかじゃなくて、本気で…?

椎葉さんの顔を見て本気かどうかを知りたいけど、今は椎葉さんの顔が見れない。

今こうして椎葉さんの指先が私の背中を伝ってるだけでも頭がおかしくなりそうなのに…。



椎葉さん…。

椎葉さん…。



「し、椎葉さん…、あの…」

「何だ?」

「あ、あの…、私…」




声が震える。

体も、小刻みに震えてる…。

私は何を言おうとしてるの?

この一言は…

この一言だけは…






"秋人を好きになってはいけない"





椎葉さんの台詞を思い出したと同時に昨夜の安藤さんの声までもが蘇った。

なのに、私は…








椎葉さん…っ。














「わ、私…、椎葉さんの事、が…っ」



















その台詞に、私の背中をなぞっていた椎葉さんの指先が止まった。

ここから先の言葉は出て来なかったが、椎葉さんはきっと見抜いてる。

椎葉さんの指が、私の皮膚の上で戸惑ってる…。



「何…?」

「あ、あの…、私…」


どうしよう…。

勢いで言ってしまったけど、冷静に考えたら何て事を言ってしまったのだろう。

こんな人、大嫌いなのに…

大嫌いだったはずなのに…。



私のその告白は椎葉さんの耳に届いたらしく、顔が見れない今は椎葉さんがどんな顔をしてるのかはわからないが

きっと驚いてるか固まってるかのどちらかだ。




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