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Dolls…
第19章 泣きながら、あなたを…
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人形だらけの静かな部屋のベッドの上。
気づけば窓からは夕日が射し込んでいた。
椎葉さんが出て行ってからどれぐらい経ったかな?
ベッドに座り込み上半身を露にしたままで、どれぐらいここでこうしてボンヤリしてるのかな?
心が凍りついたみたいに冷たくて全然動けない。
なのに、涙だけは溢れて来る。
心は冷たいはずなのに、体だけは暖かい。
ふかふかで、柔らかい…、誰かの腕の中にいるみたいな感覚。
誰かの腕の中…?
だけど、この腕は椎葉さんの腕じゃない…。
「大丈夫…?椿ちゃん…」
「安、藤さん…」
西日が射し込む部屋の中、気づくと私は安藤さんに抱き締められていた。
上半身が裸だとか、そんな事すら頭になかった。
感情が動かない。
頭の中は真っ白で何も考えられない。
ただずっと、さっきの椎葉さんの言葉が頭の中でぐるぐると回ってる。
「椎葉さんに…、"がっかり"って言われちゃいました…」
「うん」
「私、勇気出したのに…」
「うん」
「安藤さんの言うこと、聞いてればよかったですね…」
「うん」
安藤さんの忠告を聞かず椎葉さんに告白して、敢えなく振られてしまった。
けど、これは振られたと言っていいものか…。
告白した途端に"がっかり"なんて言われちゃった…。
そんな私を抱き締めながら、私の話をただただ聞いてくれている。
相槌を打ちながら優しい声をかけながら。
「告白した途端に"がっかり"とか"興味がなくなった"とか…」
「うん」
「っていうか…、"好き"って言葉すら、まだ言ってなかったんですよ…」
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