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Dolls…
第20章 別れの背中
「気分はどう?って、聞かない方がいっか…」

「あ…、いえ…」

少しの期待が外れて心がまた暗くなりそうだった。

だけど、安藤さんは心が折れた状態の私をずっと慰めてくれてた。

安藤さんだからってガッカリするのはあまりにも失礼だ。


「ご飯まだだろ?作ってきた」

「え…?」

見ると安藤さんの手にはお皿が握られていた。

そのお皿に盛られていたのは、お好み焼き。

「それ、安藤さんが…?」

「うん。勝手にキッチンに入っちゃって…、後で秋人に怒られるかもな」

「…………。」

「もしかして、お好み焼き、嫌い?」

「…いえ、そんな」


安藤さんが私に食事を作ってくれたってだけでも驚きなのに、まさかこの屋敷でお好み焼きを食べれるなんて思ってなかった。

ここでの食事はいつも一流のフランス料理みたいだったから。


キッチンに入って料理をしたってことは、今日はハウスキーパーさんはお休みだったのだろうか。

「ここの冷蔵庫でっかいから何でも入ってた。さすがにお好み焼きソースはなかったからとんかつソースで代用したけど」

この屋敷にお好み焼きソースなんて庶民的なものはさすがに置いてない、か…。


ベッドの脇の小さなテーブルにお好み焼きを置いてくれた。

ソースのいい香りが香ってくる。


…懐かしい香り。

昔はよく食べたっけな。

シュウちゃんの家で、シュウちゃんのお母さんが作ってくれたっけ。

そういえば、お好み焼きも暫く食べてなかったな…。


「私、お好み焼き、大好き…」

「そっか。よかった!ここの料理には負けるけど…」

いや、ここの料理がおかしいんだ。

毎日毎晩、まるで高級レストランみたいな食事ばかりだもん。


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