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Dolls…
第20章 別れの背中
空腹で空っぽになっていた胃袋にお好み焼きを送り込む。

何も食べれそうになかったのに安藤さんが作ってくれたお好み焼きが美味しくて…。

お世辞とかじゃなくて久しぶりに食べた庶民的な食事に、何故か私の味覚はやけに喜んでいた。

「椎葉さんもですけど…、安藤さんがお好み焼きなんて意外ですね…」

「そう?俺はお好み焼きも焼きそばも大好きだよ」

あの椎葉さんの友人だしそれなりに高級思考なのかと思ったけど、そうじゃないみたいだ。

安藤さんは椎葉さんみたいなお金持ちじゃないのかな…?


空腹の胃袋にお好み焼きを流し込む。

懐かしさと一緒に今までの寂しさをも一緒に飲み込んでいく。


「まさか、椎葉さんの家でお好み焼きを食べるなんて思ってませんでした…」

「え?何で?」

「だって、ここの食事はいつも豪勢で…、私の舌に合ってるのかどうかもわからなくて…」

ここで出される食事はいつも豪勢過ぎて、味わうとか以前の問題だった。

お腹は空くけどあまりの豪勢さに驚いてばかりでちゃんと味わったことなんか数える程度。

それに、ここに来てからいろんな事がありすぎて落ち着いて食事も出来なかったし。


「秋人は変なところに金を掛けるからな~」

「確かに…、そうですね…」


食事といい、こんな広い部屋といい。

私が来るまで1人だった癖に、無駄に豪勢で贅沢で。

見栄っ張りなのかな…?


「その癖に、私の服にまでお金掛けるんですよ。ただの人形のモデルなのに高そうな服を毎日沢山…」

クローゼットにしまえなくなりそうな数の服を毎日のように買い与えてくれた。

といっても、私の趣味や意見は無視して椎葉さんのセンスで選んだ服ばかりだったけど。



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