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Dolls…
第22章 遠い街角
初めてこの部屋に来た日、体を縛られてこのベッドでムリヤリ椎葉さんに奪われて

殺してやりたいくらいに椎葉さんを憎んだ。

そんな私を見ながら椎葉さんは嬉しそうに私を抱き続けた。

私が椎葉さんを憎めば憎むほど、椎葉さんは喜んでいた。


その日から、私はここで…

椎葉さんの人形のモデルとして弄ばれ続けた。

泣いて嫌がっても、叫んでも怒鳴っても、誰にも助けて貰えなかった。

吊るされたり、恥ずかしい格好で撮影されたり…、拷問のような地獄みたいな日々だったのに

私の体はいつしか椎葉さんを求めてた。


いつしか、椎葉さんを求めて私の体は疼き続けた。


そして、気づけば心まで奪われてしまっていた。

あの人形のような顔をした悪魔に、身も心も支配されて奪われてしまった。

そして、私は知った。

椎葉さんを好きだと言うことと


何もかもを支配される悦びを…。









━━━━━━ガチャ


「お待たせ!待たせてごめんね!準備出来た?」

ドアを開けて安藤さんが顔を覗かせた。

自身の準備が整ったので私の様子を見に来てくれたのだろう。




支配される悦びも、今日で終わり。

椎葉さんは2度と、私を縛って支配してはくれない。




そう。

私は元に戻るんだ。

元の世界に…、帰るんだ。




「椿ちゃん?」

「はい。支度は済んでます」




上京したときも荷物は少なかった。

私の旅立ちはいつも手軽。




この屋敷と椎葉さんから旅立つんだ。

そして、もう2度と椎葉さんには会わない。


…会えない。







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