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Dolls…
第23章 危険な香り


嫌だ…。

安藤さんのものになんかなりたくない。

私は誰のものにもなりたくない。

椎葉さん以外の人のものになんか…っ!!



椎葉さん…っ!!



無意識のうちに心の中で何度も何度も椎葉さんの名前を叫んだ。

届くはずのない椎葉さんへの思いを心の中で呟きながら、祈るように椎葉さんの名前を繰り返した。



椎葉さん…

椎葉さん…



椎葉さ━━━━━━━━━








ピンポーン…。






「…………っ!?」

「は?誰だよ、こんな夜遅くに…」

突然鳴り響いたチャイムの音。

誰かが安藤さんの部屋のチャイムを鳴らしたようだ。



え…?誰…?






ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーンッ!!





まるで中の住人をも叩き起こし兼ねない程にしつこく鳴り響く玄関のチャイム。

恐らく来客者が何度も何度もチャイムを叩き続けてるのだろう。



ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーンッ!!




「はいはい、はいはいっ!ったく、誰だよっ!!」



時間も時間だし最初は無視を決め込むつもりだった安藤さんも根負けしたようだ。


ここに隠れてるうちは外の様子はわからないが安藤さんの声はよく聞こえる。

こっちにまでハッキリと聞こえて来るほどに怒鳴ってる。

どうやら玄関モニターの来客者の様子を伺おうとしてるようだった。

ピッという、玄関モニターを作動する甲高い機械音が聞こえた。




「はいっ!?どちら様っ!?今何時だと思ってんだっ!?」

安藤さんの怒鳴り声が聞こえた。

その怒鳴り声が聞こえただけでいちいちビクッと反応する私の体。


けど、本当にこんな時間に来客者なんて珍しい。

一体誰がこんな時間に…?


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