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Dolls…
第23章 危険な香り
リビングから廊下に出て玄関に向かうことも出来ず仕方無く適当な部屋のドアを開けてその中へ逃げ込んだ。

椎葉さんの屋敷ほどじゃないがさすがは高級マンションと言ったところで部屋数は多い。



━━━━━ガチャ、バタンッ!



私が逃げ込んだそこは…、物置のような部屋だった。

安藤さんの趣味部屋といったところか?

8帖ぐらいの部屋で骨組みだけのラックには無数のカメラが置かれており壁には安藤さんが今まで撮ってきたであろう無数の写真が飾られていた。

他にはアニメのフィギュアやプラモデルなんかも。



……何よ、この部屋。



が、今はこの部屋をじっくり観察してる場合じゃない。

背もたれでロックしているドアの向こうからは…


「いつまでそこにいるの?んなところに隠れても無駄だよ?」


…確かに、ここは安藤さんのマンションだ。

ここに隠れたとしてもいつかは引きずり出されてしまうし、物置部屋として設計されたであろうこの部屋には窓すらないし中からかけられる鍵もない。

「クスクス。諦めて出ておいで。潔く俺のものになれ」



嫌だ…。

私が愛してるのは椎葉さんだけ。

椎葉 秋人さんだけだ。

安藤さんのものになんかなれない。

なりたくない…っ!



万事休す。

私に出来ることはここで安藤さんに引きずり出されてしまうのを待つことだけ。

それも時間の問題。


「いいの?あんまり俺を苛立たせない方がいいと思うけどなぁ」


助けて…

誰か…、お願い…。


壁に背中を引っ付けたままその場にズルズルと崩れ落ちるように座り込んでしまった。

どうしようもない絶望感が私を襲う。

さっき安藤さんに押し倒された時には出なかった涙が今になってボロボロと溢れ落ちてくる。

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