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Dolls…
第24章 秘密の人形



リビングでぐつぐつと煮えたすき焼き鍋を囲み安藤さんと食事をすることになったが、案の定食欲なんて湧くはずもなく

私の小鉢に持ってくれたすき焼きもほとんど食べられなかった。

椎葉さんの屋敷にいた時みたいにムリヤリ胃に流し込もうと思ったがすき焼きの香りに吐き気を覚えた。

そんな私をよそに安藤さんは美味しそうにパクパクと食べてるけど。

「どうしたの?全然食べてないね」

「…食欲ないんです」

食べれるわけがない。

この状況で楽しく食事なんて出来るわけがない。

安かったという牛肉もほとんど食べれず、豆腐や白滝ぐらいしか喉を通らなかった。

昔はご馳走に感じたすき焼きも今は吐き気を誘発するだけ。

「大丈夫?…じゃぁ、雑炊ぐらいなら食べられる?」

「…結構です」

すき焼きの残り汁で雑炊をしてくれるつもりなのだろう。

でも今は雑炊すら食べたくない…。

…何も食べたくない。


まるで食欲という本能が枯れ果てたみたいだ。


「でも、何か食べないと…」

「本当に…、食べたくないんです…」



っていうか、安藤さんって本当はただの鬼畜なんじゃないの?

鈍感とかそんな問題じゃない。


嫌がる私の足にこんなものを巻き付けて、こんなところに拉致監禁して、それで楽しく生活出来るとでも思ってるのだろうか。

そんな私を前にしてよく平気で食事が出来るものだ。

普通なら気まずくて食事も喉を通らない状況だというのに。


「…私、部屋で休んでます」


その場から立ち上がり部屋へ戻ろうとした。

話してわかる相手じゃないことぐらい百も承知だし、これ以上安藤さんと同じ空間にいたら私まで頭がおかしくなってしまいそうだ。




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