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第24章 秘密の人形

安藤さんの元から離れようとしたその時だ。



━━━━━ジャラッ！




「きゃっ！…痛っ」

私の足が進行方向とは逆に引っ張られてしまいバランスを崩した拍子にその場に倒れてしまった。

どうやら安藤さんが私の足の鎖を引っ張ったようだ。


「……な、何をっ」

床に倒れはしたが柔らかな絨毯のお陰でそんなに痛くはなかった。

鎖を引っ張り私の歩みの邪魔をした安藤さんの方を睨もうと体を反転させ、上半身を起こそうとすると…







「駄目じゃん。そんな我が儘言っちゃ…」

「━━━━━やっ」

反転させ仰向けになった私の体の上に安藤さんが馬乗りになってきた。

逃げようと体を捻るが全体重をかけられてるせいで身動きが取れない。


「またダイエットだとか何とか言って絶食する気？そんなんじゃ体に悪いよ」

「は？ダイエット…？絶食…？」

「モデルも大変だね…」




━━━━━━━っ！！




ダイエットだとか絶食とか、一体何の事を言ってるのかと思った。

安藤さんの目は私を見ていない。

また、居もしない奈々さんの幻と私を重ねてるんだ。

まるで本当に奈々さんに話しかけてるような口振りに背筋がゾッと凍った。


「ほら。口開けて」


手を後ろに回した安藤さんはテーブルの上にある小鉢と箸を持つと

箸で牛肉を掴み私の口元へと持ってきた。

砂糖醤油に絡まった牛肉のいい香りが鼻をつくが、先程よりも更に食欲が低減してる。

…気分が悪い。

吐きそう…。



「い、嫌…っ」

「ほら…、ちょっとでも食べなきゃ」



私は、奈々さんじゃない…。

そんな台詞、今の安藤さんにはきっと届かない。