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第25章 最後の真実

「あ、の…」


椎葉さん、私は安藤さんから大まかな話しか聞かされてない。

だけど、これが全て事実だとしたら…

そう思うと椎葉さんにかける言葉が見つからない。

質問されたことには正直に答えなくてはという気持ちと躊躇う気持ちがごちゃ交ぜになって上手く言葉が出てこない。

椎葉さんは私が話し出すのを待つように黙って車を走らせている。


早く何かを喋らなきゃいけないのに、緊張して言葉が出てこない。

自分の心臓がうるさいぐらいにドキドキ高鳴って言葉の邪魔をしてるみたいだ。

椎葉さんは傷ついてるはずなのに…、私だけがこんなにドキドキしてる。

振られたとわかってるけど、私の胸は悲しいくらいにドキドキと高鳴ってる。



車は徐行運転から一転、一般道に入ったのかゆっくりと加速しはじめる。



安藤さんの家から連れ出され有無を言わずに車に乗せられたけど、何処に向かってるんだろう。

…私のアパートに送ってくれるのだろうか？

寝転んでるせいで窓の外の景色が確認できず今何処を走ってるのかすらわからない。

…って、まぁ景色が見えたとしても東京の街並みなんてどれも似たような感じだからどっちにしたってわからないけど。


平坦な道を車は走って行く、が

突然━━━━━━





「尚人から聞かされた事が全てじゃない」

「え…？」

「……あいつの話が全てじゃないって事だ」





なかなか口を割らない私に変わって先に口を開いたのは椎葉さんの方だった。

それは、安藤さんにも言ったあの台詞だ。


「す、全てじゃない…？」


椎葉さんの口振りからして、安藤さんから聞かされた話にはまだ続きがありそうな感じだった。

少なくとも椎葉さんしか知らない事実が隠されているようだった。