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Dolls…
第6章 甘い嫉妬
「べ、別にそんなんじゃ…」

「嘘つけ。体が熱い」

体が熱いのは…、熱のせいだけじゃない…。


なのに、椎葉さんの目は真剣だ。


椎葉さんの腕の中、所謂お姫様抱っこをされてる間、さっきまで感じてた胸の痛みはなくなってた。

あのチクチクした胸の痛み…。


けれど、今は…

そんな胸の痛みを忘れてしまいそうなほどに体が熱い。


私を抱き抱えたまま、部屋の方へと歩き出す椎葉さん。

まさか、このまま部屋まで連れていく気?

「あの…、もう下ろして下さい…。私、歩けますから。それに、重いでしょ?」

「別に…、女1人ぐらいどうって事ない」

確かに、フラつく事もなく微動だにしないしっかりした足取りで歩いてるみたいだけど。

でも、絶対重いに決まってるよ…。




さっきの女性、椎葉さんの何だったんだろう…?

会話からして、やっぱり元カノかな…?

あの女性が頭から離れない。

あんな綺麗な人、産まれて初めて見たんだもん。



「さっきの女性は…、元カノですか…?」

「あ?奈々の事か?」

奈々…って言うんだ…。

椎葉さんとお似合いの、凄く綺麗な人だったけど…。

「凄く綺麗な人でしたね…」

「あぁ。確かにな。でも元カノとかそんなんじゃない。昔、人形のモデルを頼んでたってだけだ」




…あの人が、人形のモデル?

あんな綺麗な人がモデル、だったの…?




あの胸の痛みが再び襲ってきた。

胸が、チリチリと焼けるみたいに熱い…。



あんな綺麗な人がモデル…?

「そう、ですか…」

ううん、普通ならあれぐらい綺麗な人がモデルをするべきなんだ。

あの人がモデルならきっと完璧な人形が作れたはずだ。

あの女性こそモデルに相応しい完璧な女性だ。





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