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Dolls…
第6章 甘い嫉妬
「どうした?」


あんな綺麗な人がモデルだったなら、どうして私をモデルにしてるの?

私とあの人じゃ雲泥の差。

あんな綺麗な女性の変わりのモデルなんて務まるはずがない。

なのに、どうしてこの人は私をモデルに…?

どうして私にこだわるの…?


「あ、あんな美人に言い寄られて…、本当は嬉しかったんじゃないんですか…?」

「は?何言ってんだ?」

「あれぐらい美人な人の方が、モデルとしてはいいんじゃないですか…?」


声が、震える…。


きっと…、あの人にも、私と同じ事をしたんだ。

人形の表情の参考にしたいとか言って、私と同じようにあの人の事も抱いたんだ。

「どうした?お前、何か変だぞ?」


椎葉さんの顔が見れない。

別に、この人が誰をモデルにしようが、誰を抱こうが私には関係ない。

関係ない、はずなのに…っ。


胸の奥がズキズキ痛い。

私と同じように、あの掌であの女性を…。



「わ、私をモデルになんて…、始めから冗談だったんでしょ?ただの田舎娘をからかっただけでしょ…?」

「は?何を馬鹿な…」

「椎葉さんとお似合いの雰囲気でしたよ?…綺麗な人でしたし」




今の私の顔、きっと酷い顔になってる。

胸の奥の正体不明の痛みに頭の中や心まで黒く支配されて行く。


「あんな綺麗な人がいるなら、私なんかをモデルにしなくても…っ!」




「……いい加減にしろよ」


椎葉さんの、深く大きな溜め息が聞こえた。

「だって…っ」

ふっと、椎葉さんを見上げると、その瞳は━━━━━



あ…、━━━━ゾクッ



背筋が凍った。

その瞳は、先程と同じ、あの氷のような冷たい瞳だった。





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