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タンバリンでできたオーロラ
第3章 キリングス・オブ・キングス3 ~凌辱のカードバトル~
第二章
神沢祐希

 器に水を注いでいるのではない。
 器の中を水に換えているのだ。

  バビロニアの錬金術師 オリクジ


 神沢祐希は手練れだった。

 石門直人は賞賛の念を抱きながらも、勝利の愉悦を噛みしめていた。《磁力の磔刑台》が間に合わなかったら殺られていたのは自分のほうだったかもしれない。いや、自分が負けるはずなどないのだが……どうあれ、追い詰められてしまったのは事実。自分に一筋でも冷や汗をかかせたことは褒めてやってもいい。

《黒い青空》が作り出す見通しの良い闇。

 祐希の召喚した《鎧鳥》の群れのおびただしい残骸が地に転がる。機動性と防御力を併せ持つ使い魔ではあるが、その身を覆う金属装甲を磁力で吸い寄せられてしまっては、舞い上がることすらできない。直人は中空の何もない空間に浮かぶ祐希のそばまで歩み寄り、笑みを浮かべた。

「ゲームオーバーだな。身動きできまい」

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